豪ドル/円相場は、80円台中盤まで軟化する展開に。改めて中国経済の減速リスクがクローズアップされる中、豪ドルに対する戻り圧力が強くなっている。9月上旬は中国の政策対応期待が豪ドル相場を押し上げてきたが、改めて中国リスクが豪ドルに調整売りを誘っている。商品市況全体の調整地合も上値圧迫要因となり、約2週間ぶりの豪ドル安・円高水準に達している。
20日に発表された中国の9月HSBC製造業購買担当者指数(PMI)は前月の47.6から47.8まで小幅上昇したが、活動の拡大・縮小の分岐点となる50は11ヶ月連続で下回っている。また、24日に発表された中国版ベージュブックでは、6月と7月の利下げにもかかわらず金融緩和の効果は限定的と指摘され、特に製造業部門に対する楽観見通しが大幅に後退している。特にサプライズとなるような悪い内容ではないものの、ここにきて中国株が再び下値切り下げ圧力を強めていることもあり、豪ドルに対しても慎重な見方が広がった。直ちに利下げ議論に発展する状況にはないものの、中国経済に対してこのようなネガティブ見通しが継続すると、豪ドルに対する調整圧力も継続しよう。
今月のオーストラリア準備銀行(豪中央銀行)金融政策決定会合(4日開催)の議事録では、「インフレ見通しの現在の評価では、成長予想の大幅悪化に対して政策を調整する余地が引き続きある」と総括されたことで、マーケットでは利下げリスクに対する警戒感も強めている。ただ、実際に外需の落ち込みを内需で支えることができないのかを判断するには、まだ時間が必要と考えており、利下げシナリオの織り込みは時期尚早だろう。中国経済のリスクが豪ドルの上値を圧迫するも、大きく値崩れを起こすようなリスクも限定的とみている。
今後1週間の予想レンジは、79.50~82.00円。